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2024.12.23

中洲の夜を灯し続ける 屋台「伸龍」

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中洲の夜を灯し続ける 屋台「伸龍」

福岡の夜を彩る屋台街。今や天神、博多、長浜と市内各所で賑わいをみせている屋台ですが、中洲の屋台街も歴史ある特別な場所です。中洲1丁目に位置する屋台 「伸龍(しんりゅう)」は、地元の人々だけでなく観光客からも愛される老舗。店主の畠ゆき(はたけゆき)さんにお話を伺うと、屋台文化を通して人々を繋ぐ場所を守り続けることへの想いを知ることができました。

屋台の歴史と「伸龍」の歩み

伸龍には家族連れの旅行客も訪れる

伸龍には家族連れの旅行客も訪れる

戦後の簡易店舗として日本中に広まった屋台。全国的に衰退の一途を辿る中で、盛り上がりを見せているのが福岡市の屋台街です。衛生面の悪化や不法な運営方法により縮小が迫られる中、高島市長が2011年に「屋台のあり方を検討し、残していきたい。」と唱えたことが福岡屋台街復興のきっかけとなりました。その後環境や運営システムの整備を図り、さらに屋台の公募を募ったことで若者の参入も進みました。

そんな福岡屋台の中でも中洲エリアの老舗店として人気を誇るのが「伸龍」です。1987年に創業し、当時わずか12件しかなかった中洲屋台の一角を担いました。その後、大型商業施設のキャナルシティ開業が追い風となり、中洲全体に活気が溢れていました。「ここ10年で中洲の屋台街がメディアに取り上げられる機会も増え、最盛期の賑わいを取り戻し始めました」と語るのは、店主の畠ゆきさん。

「伸龍」も時代に合わせて変化してきました。「2013年の条例改正で屋台の継承が直系親族に制限されるようになった際には夫から引き継いだこの店を守り、今は息子家族や娘も手伝ってくれています。この店を未来へ繋ぐことが私の目標です。」と、畠さんは優しく微笑みます。

屋台の日常と大変さ

寒い季節に集うのも屋台の醍醐味

寒い季節に集うのも屋台の醍醐味

午後5時、伸龍の1日は屋台の設置から始まります。条例で決められた午後5時〜翌午前4時以外で屋台を出すことはできません。業者によって運ばれた屋台を手早く組み立て、18時の開店準備を整えます。開店前には行列ができ、14席がすぐに満席になります。閉店時間は日によって変動するものの、伸龍はおよそ1時まで営業するそう。

「設営や撤去作業は重労働ですし、長時間の立ち仕事や限られた空間での効率的な調理など、屋台の運営には大変な場面も多いです。」と畠さん。豪雨や強風の日は店休になり、夏の暑さや冬の寒さへの対策も必要です。しかし、そんな屋台だからこその良さもあるといいます。「冬になると屋台周囲にビニールシートをかけますが、この時期が一番屋台らしいですね。寒い中、みんなで屋台を囲んで熱々のおでんを食べるのは屋台の醍醐味です。」


さらにここ数年は未曽有の事態への対応も迫られました。「コロナのときは特に大変でした。屋台はもともとカウンターが狭いので、感染対策は難しいです。営業時間が20時までに制限され、アルコールの提供も禁止となった際にはしばらく営業ができませんでした」。

2年ほどの休業を経てようやくお店が戻ってきたとき、たくさんの常連さんが迎え入れてくれたとのこと。コロナの終焉により、ようやく多くのお客さんにとって心地よい居場所が戻ってきたのです。

「今は海外の旅行客も多く、国内から来られる方も若い方や家族連れがいらっしゃいます。一期一会を大切にしながら、『また来たい』と思っていただけるお店づくりに励んでいます。」

地域との関り

店主の畠ゆき(はたけゆき)さん

店主の畠ゆき(はたけゆき)さん

中洲の屋台は福岡の名物祭りである博多祇園山笠や近隣イベントへの参加など、地域コミュニティとの深い関係性があります。特に畠さんは中洲飲料組合の組合長など複数の役割を兼任しているため、普段の営業以外にも関連屋台を尋ね、博多署と連携し飲酒運動撲滅に取り組むなど精力的に活動をされています。屋台同士や地域との顔を合わせる関係性を大切にするからこそ、畠さんの「伸龍」はいつも人々に愛され続けているのです。

「伸龍」の魅力と店主の想い

伸龍で一番人気の焼きラーメン

伸龍で一番人気の焼きラーメン

「伸龍」の人気メニューは、福岡屋台発祥の「焼きラーメン」。そのほか、明太チーズ餃子なども人気を博しています。また、海外観光客の増加に伴い、近年は多言語対応やオンライン決済などのサービスの刷新を図っているそう。

「屋台の魅力は観光客や地元の人が楽しく交流できることです。知らない人同士がカウンターを挟んで仲良くなり、イベントで盛り上がることができるのは飲食店を越えた屋台ならではの文化だと思います。また、気軽に立ち寄れる雰囲気も魅力の一つです。」

畠さんは「博多屋台はしご酒マップ」を制作し、観光で来られる方や屋台を利用したことがない方がより中洲の屋台街を気軽に楽しむための取り組みもされています。

「屋台に馴染みがない方でも、まずは屋台ならではの雰囲気を楽しんでいただきたい。お一人様にも女性にも安心して伸龍を利用してほしいです。皆さんの『美味しかった』という言葉が私の活動の原動力になっています。」

屋台文化を継承しながらも地域と共に進化し続けることで、「伸龍」はこれからも中洲の夜を灯し続けることでしょう。


博多中洲屋台 伸龍(Shinryu) 
場所:福岡県福岡市博多区中洲1-8清流公園沿い
ホテルリソルトリニティ博多より徒歩6分
紹介サイト:https://yokanavi.com/yatai/122475/
Instagram:https://www.instagram.com/comeonshinryu/
X:https://x.com/come_on_shinryu
 *開催情報の詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。