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2025.09.25

手しごとの温もりに出会う場所 はかた伝統工芸館

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手しごとの温もりに出会う場所 はかた伝統工芸館

2025年5月2日、博多駅から徒歩圏内、承天寺(しょうてんじ) 通りに「はかた伝統工芸館」が移転オープンしました。福岡・博多に息づく伝統工芸を、もっと身近に、もっと自由に体感してもらいたい。そんな思いから始まったこの館は、訪れる人の五感に寄り添うような、開かれた文化の拠点なのです。

「伝統工芸は、もっと自由でいいと思うんです」と語るのは、同館の運営を担う副館長の松口知敬(まつぐちともひろ)さん。守るだけでなく、触れて、楽しみ、想像を広げる。これからの“伝統”の在り方を教えてくださいました。

まちに帰ってきた、伝統工芸の拠点

はかた伝統工芸館では博多の伝統を見て学ぶだけでなく、工芸品を購入や制作することもできる

はかた伝統工芸館では博多の伝統を見て学ぶだけでなく、工芸品を購入や制作することもできる

はかた伝統工芸館は、2011年に冷泉小学校跡地に誕生しました。その後、一時的に福岡市博物館内へ移転し、2025年春についに博多のまちへと帰ってきたのです。

新しい拠点は、古くから博多織や商人文化の中心地だった「承天寺通り」。落ち着いた街並みに溶け込むように佇む落ち着いた館内には、昔ながらの趣を残しながらも、新しい発見や体験の芽がそっと息づいています。

「観光施設としてだけではなく、まちの人たちにとっても身近な場所にしたいと思っています」と松口さんは言います。市の指定管理制度により、福岡市と連携しながら、展示・体験・地域交流を融合させた場づくりが進められているのです。

伝統工芸作家の手しごとにふれる

福岡県知事指定特産民工芸品も展示されている

福岡県知事指定特産民工芸品も展示されている

館内には、博多を代表するさまざまな伝統工芸品が並びます。糸の輝きが美しい「博多織」、繊細で表情豊かな「博多人形」、木のしなやかさを生かした「博多曲物(まげもの)」、回転の妙を競う「博多独楽(こま)」、そして博多鋏(はさみ)、博多張子(はりこ)、博多おきあげ、マルティグラス、今宿人形。まさに手しごとの宝庫と呼ぶにふさわしい空間です。

「もっと多くの方に伝統工芸や作家さんのことを知ってほしいんです」と松口さん。同館では、伝統工芸品をより身近に感じる取り組みとして、“体験コーナー”を新設。素材や工程を学びながら、自分の自由な発想で博多張り子などの工芸づくりに挑戦できます。

工芸体験コーナーでは子どもも大人も工芸づくりを楽しむことができる

工芸体験コーナーでは子どもも大人も工芸づくりを楽しむことができる

「絵付け体験ではテーマは特に設けていません。描きたいものを自由に描いてもらっています。工芸品の敷居を下げて、まずは気軽に楽しんでもらいたいですね」その言葉どおり、訪れた人たちは思い思いに手を動かしながら、伝統工芸の面白さを感じとっていました。

未来の作り手に伝えたいこと

ミニ山笠や薬師如来像など見ごたえのある展示スペース

ミニ山笠や薬師如来像など見ごたえのある展示スペース

「子どもたちにとって、ここが伝統工芸を知る最初のきっかけになればうれしいです」。
松口さんは、工芸との“出会いの場”として、はかた伝統工芸館の可能性を大切にしています。夏休みの自由研究や、家族での週末のお出かけ、学校単位での体験学習。子どもたちが遊び感覚で伝統工芸にふれられることこそ、未来の担い手への種まきになると考えています。

訪れるのは子どもたちだけではありません。地元の方々や観光客、大人の趣味として体験に参加する人も少なくありません。博多人形・博多張子・博多織などの工芸品にふれながら、没頭して自分だけの作品を仕上げる時間は、何物にも代えがたい豊かな体験です。

「観光の方もふらっと立ち寄って、博多の思い出のひとつとして工芸にふれてもらえたらうれしいです」。
旅の途中で気軽に立ち寄り、手を動かすことで、博多の文化を肌で感じる。そのひとときが、何年後かに「また博多に行きたい」という記憶になることもあるかもしれません。パンフレットの多言語化など、インバウンド対応の整備も進めていく予定と言います。

館内に飾られている迫力ある博多人形の「福の神」

館内に飾られている迫力ある博多人形の「福の神」

施設では、季節ごとの企画展やイベントも随時開催されています。訪れるたびに展示内容が変わり、新たな作品や作家との出会いがあるのも魅力のひとつ。定期的に足を運ぶファンが多いのも納得です。

「今後は作品だけでなく、作家さんにも興味を持ってもらえると嬉しいです。作家さんの人柄や生き方にもスポットを当てて紹介していきたい」と松口さん。一方で、課題もあります。たとえば博多鋏など、一部の工芸品では後継者の不在が深刻な状況にあります。

「今は“後継者を育てよう”と力むよりも、まずは多くの人に知ってもらうことが大切だと思っています」知ること、ふれること、そして好きになること。その積み重ねの先に、伝統を未来へつなぐ道が見えてくるのです。

自分だけの“手しごと”に出会える場所

国指定伝統的工芸品の博多人形

国指定伝統的工芸品の博多人形

はかた伝統工芸館は、展示を見るだけの場所ではありません。作品の裏側にある人の手と想いにふれ、自分の感性でそれをなぞってみる。
たとえほんの一筆でも、小さな作品でも、自分の手で生み出した時間は、かけがえのない体験として心に刻まれます。

伝統は、過去を守るだけでなく、いまを生きる人々の手によって更新されていくもの。
「つくること」への楽しさや、「誰かの手しごと」に対する敬意は、世代を越えて伝えられる財産です。

国指定伝統的工芸品の博多織

国指定伝統的工芸品の博多織

「福岡を楽しむ中での一つの想い出として、気軽に立ち寄ってもらえたら嬉しいです。もちろん、博多について知りたいことなどなんでもお答えしますので、おもてなしのお手伝いをさせてください」。 その言葉には、松口さんのあたたかく誠実な想いが込められていました。

博多を訪れるときには承天寺通りに足を運んでみると、きっとそこにはあなた自身の“手しごとの物語”が待っているはずです。


はかた伝統工芸館  
電話番号:092-409-5450 
住所:福岡市博多区博多駅前1-23-2ParkFront博多駅前一丁目1階  
アクセス:祇園駅より徒歩7分  
HP::https://hakata-dentou-kougeikan.jp/ 
詳細は上記のリンク先でご確認ください。